CF 表は営業 CF・投資 CF・財務 CFで構成されていますが、私はこれを見る時、営業 CF と投資 CF に特に注目します。
最も重視するポイントは以下の点です。
- 営業 CF がプラスで投資 CF がマイナスであること
- 営業 CF+投資 CF =フリー CF がプラスであること
- 継続的に上記の点を満たしていること
この状態が、もっとも「企業が投資家に利益を還元するマシーン」としての機能を果たしているからです。
図で表すとこんな感じです。
この薄い赤の部分に調査対象がいるかどうかを見ます。ここが投資家から見たスイートスポットであり、この中を長期間ウロウロしている会社のことを「優良企業」と言います。
そんな会社の CF を経年グラフにするとこんなふうになります。
安定期の状態を噛み砕いて説明すると、例えばコンビニ業で1店で儲けるシステムが出来上がっていて、あとは FC 出店すればするほど儲かる、という感じです。
つまり儲ける仕組みが完成しており、さらに投資を行うと、それに何割かの儲けがついて返ってくるわけです。
とにかく繰り返しになりますが、如何にしてこのスイートスポットに長期間とどまるかが企業にとっては勝負なのです。
そのためには続々と現れるライバルを追っ払い、時代に合わせて事業をブラッシュアップしていく必要があります。
さもないとあっと言う間に衰退期に行ってしまいます。
ちなみに企業の寿命サイクルをさっきの図で説明すると以下のようなものです。
まず最初に図の創業期から企業は始まります。ここではまだ「儲ける仕組み」を作っている段階なので、収入はないのに投資だけがかさみます。
次にその「儲ける仕組み」がうまく回りだすと安定期に入ります。その事業が優れたものであればじきに投資 CFよりも営業 CF のほうが大きくなって利益を生み始めます。
そしてさらに投資を増やして利益を極大化していきます。グラフは赤い領域内で右上に向かって進んでいきます。
しかしそんな状態にあぐらをかいてボーっとしてると、すぐにライバルが現れて横取りされたり時代遅れにされたりして衰退期に入ります。
ここでは、もはや投資した資産から上手く営業 CF を生み出せなくなってしまい、余った資産を売却したりするので投資 CF がプラスになります。経営者は不退転の決意でリストラをする必要があります。
そして、衰退期でやるべきことに失敗した会社は破綻期に入ります。ここではメイン事業はもはや常態的な赤字経営で、営業 CF がマイナスになります。その赤字を埋めるために資産の売却を余儀なくされていて、投資 CF のプラスで支えている状態です。
こうなると銀行もお金を貸してくれなくなり(財務CFのプラス調達ができない)、残された手段といえば MSCB の発行くらいです。
ちなみにトヨタってまだ安定期の初期段階なんですよ。ご存じでした?トヨタはいまだに営業 CF 以上に投資 CF が大きい成長段階の「若い」会社なのです。あんなに大きな会社なのにね。
Apple は最近ようやくスイートスポットに入ったところで、配当を始めました。極めて正しい資本政策といえます。
Twitter は勿論まだバリバリの創業期ですね。
こうしてみると CF って結構おもしろい
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