2023/12/23

「好きを仕事に」ではなく「得意を仕事に」


今回も著書の補足記事です。

投資ブログを書いている私が言うのもなんですが、私は投資にかける時間はソコソコにして浮いた時間で苦にならない仕事をしたほうがいいのではないか、という意見を持っています。

なぜならトマ・ピケティの r>g は働くより投資の方が資本の成長率は高いことを示していますが、この不等式は大小関係を示しているだけで r が必ずプラスになるとは言っていません。例えば -1%>-3% でも式は成り立つので世の中から働く人がいなくなったら投資家も儲からなくなりますから、楽しくできる仕事があれば働くほうがよいと言えます。

しかし、そんな私でも求人情報などで見る「好きを仕事に!」なんてキャッチコピーについてはそんな仕事あるのかい? と思います。

いや、確かにそんな事例もゼロではないと思いますが、そんな仕事に巡り合える運のよい人は1000人に一人いるかどうかで、大抵の人は月曜日になるのが気が重くなりながら、なんとか自分を鼓舞して頑張っている、と言ったところじゃないでしょうか。

そもそも好きなことがおカネになることは稀ですし、「好きを仕事に!」なんていう理想を求めて続け、合わなかったらすぐ辞めて次へ・・・なんてことをやっていたら、全くスキルもキャリアも身につかず気が付いたら40歳になり、にっちもさっちも行かなくなるのが目に見えています。

百歩譲って、仮にそんな天職を見つけたとしても、時代と共に会社も仕事も立場も変わっていく中で、やりたい仕事をするために発生するやりたくない仕事が多くなってしまい、気が付いたら結局もとに戻っていたりします。

世の中のまともな人は大抵そういうことが分かっているので、多少気が乗らなくてもガマンして今の仕事を続けているのだと思います。

ということで、やはり全ての人にとって楽しい仕事なんかあるはずはないのですが、これの代わりに私は好きな仕事を探すのではなくて、得意な仕事を探してはどうですか、と思います。

得意な仕事とは、人は苦労しているけれどなぜか自分には昔から簡単な事、人は嫌がるがなぜか自分はそれほど嫌では無い、そんな仕事を会社内外(社内優先)で見つけたらチャンスです。おそらくそれはあなたに向いている得意な仕事のはずです。

「好きではないが得意なこと」は探せば結構あるものです。それに別に好きでもないので、周りのその仕事が好きでない人の気持ちもある程度分かるため周りともうまくやっていきやすいです。

そんな仕事を見つけたらダイビングキャッチでGETしましょう! 投資で成功するためにはタネ銭をつくる長い時間が必要ですが、給料だけで仕事を選んでその長い時間を苦しい時間で埋めてしまうと後々後悔しかねません。両方バランスよくやるのが人生のライフハックじゃないでしょうか。

なので著書でも働くことを事あるごとに勧めましたが、好きな仕事を探しましょうとは一度も書いていません。書いてあったら誤植です(笑)

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2023/12/17

外国株投資の円高問題の解決策


先日外貨預金についてXでポストしたところ非常に大きな反響があり、数多くの賛否両論の反応を頂きました。

反応の内訳を見ると、信用度の高そうなアカウントに限れば選択肢の一つとして頭の片隅に置いておくという、どちらかというと賛のスタンスが多かったようですが、全体の単純数としては今、外貨預金は悪手ではないか、という否の意見が多かったです。
否定的な理由は大きく分けると①手数料の問題、②税金の問題、③為替差損の問題、の3つでした。

このうち①はSBI証券内のドルを住信SBIに出す場合は為替手数料も出金手数料もゼロなので特に問題になりません。②は小市民の私たちにとってはルールに沿って粛々とするしかないので諦めるしかありません。
そこで、今回は特に③について深堀りしていきたいと思います。

さて円高傾向の今、外貨預金は為替差損になり悪手ではないか、という意見ですが預金に限らず外貨建投資をする場合、円高になると円ベースで計算した資産は目減りします(円安は逆)。

そのためオルカンやS&P500インデックス投資等の外国株投資も含め、ここを気にする人は非常に多いです。確かに最終的に使うのが円ならば気にするのは当然と言えるでしょう。

しかしこれについて「お金儲けの神様」こと故・邱永漢先生(以下Q先生)が生前、
「株はその国の通貨で見て上がっているかどうかで判断してください」
と喝破されていました。
※勿論、その国のインフレ率以上は増やさないといけないとは思います

この話は今でもQ先生のサイトの読者からのQ&Aの何処かにあると思いますが、あまりにもブログが大量なのでどこに書いてあるかはどうしても見つけられませんでした。GPTさんに聞いても「Q先生の考え方からそう言う可能性はあると思うけど何処に書かれているかは分かりません」と言われてしまいました。
しかし私はそのQ先生の回答が忘れられず、今でもそのように考えて投資をしています。

ただ、実は私もなぜQ先生がこう言ったのか、その真意は知りません。Q先生はその考えに至ったロジックまで説明してくれないこともよくありましたので、理由は自分で考えざるをえないからです。

そこでQ先生のブログをひたすら読み続けて脳内でモデル化した北原GPTで申し訳ありませんが、その理由は「為替の損益まで頭を悩ませて銘柄を選ぶとシンプルに業績とビジネスの将来性を見る選択眼が曇るから」だと思っています。

例えば株はAmazonやNVIDIAのように、成長株は何百倍、何千倍にもなることがあります。それに比べると為替損益などは取るに足らないものなわけで、そんな(どうでもよい)為替損益を気にかけて、タイミングがどうたら言っている間にそのような株を買う機会を逸してしまえば大損害を被ってしまいます。

これをQ先生の口調を真似して書けば「為替なんてそんな小さな事よりしっかりその仕事がこれから陽の当たる仕事になるかどうかを見てください。そんなことを気にしているからダメなんです」といったところでしょうか。

なんか虎の威を借る狐みたいでQ先生ファンからお叱りが来そうですが、もしQ先生の中国企業訪問団に参加されたことがある人で、この辺の話を聞いたことがある方がいましたらぜひコメントください。

話は戻って、まあ前述の通りQ先生はいちいち解説してはくれませんから、この理由が正しいかどうかまでは分かりません。だから私も円高傾向の時に外国資産への投資をためらう人の気持ちは分からないでもない。

しかし私はこれまでも投資について散々勉強し、考え続け、時には損したりしてきて、最終的にバフェットやQ先生の言った通りの考えになった、という経験を沢山してきました。そして実際に財を成すことが出来ました。結局は私がやったことは賢者の真似をしただけだったので今では最初っから聞いておけば良かったと思っています。

そうならばまずは賢者のいう通りにやって、賢者がなぜそう言うのかはその後に勉強すれば良いのではないでしょうか。勉強は何年もかかるのでその間の時間が勿体ないからです。インデックス投資なんて、まさにそのやり方が向いている投資です。

自分の主義と違うからと言って、経験も実績もある先駆者がいう事に拒絶反応を示すより、私だったらなぜ賢者がそう言っているのか考えます。自分のどこと見ている所が違うのかと考えます。
私は15年前、それに気づいてこの記事でコメント頂いた方に褒められたことがありますが、それから12年後、本当にその方の言う通りになりました。

この江戸の隠居さんという方は、その後何回かコメントを寄せてくれた後すっかり姿が見えなくなってしまったのですが、書いてある内容から相当の資産家であると予想できます。そのような人が、あれほどまでに予言を断定的に言って、しかもそれが当たるということは、考え方というものが資産形成のKPIの最上位だということだったのではないでしょうか。

もっとも、誰が賢者かは絶対に見誤らないでくださいね。

ということで外貨建の投資をする場合、為替は気にせずに投資される事をお勧めします。そして円は円で一定の割合で持っておけば良いのです。

それにおそらくですが、超長期では円は弱くなっていくと予想しています。為替は結局は国力に比例するものですので、あなたの髪が白くなる頃には今のレートで交換しても為替損益で損どころか益に働くんじゃないでしょうか。

2023/12/15

投資の儲けは「ずるい」のか?


拙著で「家族など近しい人に資産額を公開するかどうか」についてコラムで書きました。結論は書籍のほうへ譲るとして、ここでは書籍では諸般の事情で入れ辛かった部分を補足として書きたいと思います。

私が思うにこの問題の根幹は、普通の人が持っている「投資での儲けはずるい儲けなのだから、それはあぶく銭である」という認識ではないかということです。

なぜ投資の儲けは「ずるい」と思われるのか。

それは、普通の人にとっても働いてお金を貯めることは大変だ、ということは自身も労働をした経験から深く同意できるが、それ以外でできたお金は働いた訳ではないのだから、楽に出来たあぶく銭である、という論法になっているのではないか、ということです。

なお、それならその「ずるい」方法は誰にでも開放されているので、あなたもやればいいのに、といっても絶対にしないのもご存知のとおりです。

つまり普通の人にとっては投資で得たお金は、前澤さんのお金配りでもらったお金や、ギャンブルや宝くじで当てたお金、相続で転がり込んできたお金と同列であって、「働いて得たお金とは種類(色)が違う」ということなのでしょう。いわゆるお金のメンタルアカウンティングです。

さらにその投資でできたお金が過去の出来事だったりすると、なおさらその認識に拍車がかかることになります。

まるで10年前に車にひかれそうになって危ないところだった、といった昔話程度で
「へーそうなんだ、運がよかったね」
「でも死ななくてよかったじゃん」
で終わりです。

投資で言えばリーマンショックで死にそうになりながらも1億儲けた、という事実があっても
「運がよかっただけだよね」
「で、とりあえず今そのお金残ってるんでしょ。じゃあ奢って」
となります。

とにかくこういう信念を固く持っている人に資産額をしられてしまうと

「私に奢ってくれて&貸してくれて「当然」であって、それをしないのは「ケチ」だ。だってあぶく銭だもの」
という反応が返ってきます。こうなるとあなたの評価は奢ってゼロ、奢らなけばマイナスとなり、どちらに転んでもプラスには1ミリもならないのです。なので、こういう人は絶対に資産額を知られてはいけない相手と言えるでしょう。

ところがまずいことに世の中には結構な割合でこういう人はいるように感じます。だって「投資はギャンブル」「額に汗して働く」というフレーズにあるように、そもそも日本では子供のころからこういう教育を受けていますからね。あながち本人のせいとも言えません。

それとは逆に今この記事を読んでいるような方は投資の経験があるでしょうから、投資の利益とはそんな簡単なものではないことは重々ご承知の事と思います。

それは長期に渡って節約を重ね、さまざまな誘惑に耐えて作った種銭を市場に晒し、リスクに対する恐怖を乗り越え、精神をすり減らし、修羅場を超えて手に入れた尊いお金である、と誰に教わるでもなく自身で気付いて理解していることと思います。

しかし残念ながらそんな認識は株クラの中だけでしか通用しないことを理解しておくべきでしょう。

私は書籍でこの世間の誤解を少しでも解きたいと、リーマンショックやコロナショック時に実際に投資家がどれだけの葛藤とリスクを負っていたかというエピソードを、これまでの本より丁寧に書いたつもりです。
なので、もしこれを読んで頂ければそういったところを少しは理解頂けると思うのですが、残念ながらそもそも普通の人には興味を持って読んでもらえない確率のほうが高いかもしれません。

そういうところに興味がないからお金が貯まらないのか、ある程度のお金が貯まらないから興味がわかないのか、卵と鶏の関係?なのかもしれませんが、この点は歯がゆいですね。

ただFIREが可能になる程度の資産を作った暁にはこの世間一般の認識を受け入れ、少し自分のことを俯瞰して周りがどう見ているのかを理解したうえで行動する必要があると思います。

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2023/12/09

数万字の文章を完成させる方法

今般、書籍を出版するという貴重な経験が出来たので、私の場合の文の書き方をシェアしたいと思います。

これが正しいという訳ではないですが、ひとまずこれで数万字の文章を完成させることは出来たので、長い文を書く際には参考になるかと思います。

それではいってみましょう。

思いついたらすぐメモ

散歩中でも食事中でも、なにかフワッと思いついたらすぐにスマホにメモします。iPhoneで音声メモを取るのも良いでしょう。

目次から書く

メモを参考に書きたい内容をテーマごとに箇条書きで書いていきます。これは他人が見ても意味不明の短文の羅列になると思いますが、書く人にとってはそれがトリガーになって内容を思い出せるようなレベルの物になります。

詳細を書く

テーマごとにPCの前に座ってガッツリ書く時は午前中に書くようにします。夜に書いたものなぜか大抵は自己ボツになります(笑) なんででしょうね。

書く時は調子の良い時に、記憶だけに基づいて裏を取らずに一気に書きます。ここでいちいち調べていると書きたいことがすっかり頭から飛んでしまいます。この一番集中してる時に嫁さんに邪魔されるのは正直つらい。。。

打ち込むのが面倒なときはiPhoneのメモで音声入力を利用します。あっという間に大量の文字が生産されますが結構変換ミスなどが入るので、一区切りついたら忘れないうちに修正しておきます。
後から直そうとすると喋った本人が見ても何を言っているのか分かりません(笑) プログラミングの世界で言われる「1ヶ月前に自分が書いたコードは既に他人のコード」という格言(?)と同じです。

書いてから2、3日はふとしたはずみに追記修正点などを思いつく事が多いのですぐ公開せずに少し放置熟成しましょう。

校正する

裏を取る必要がある部分については、ここでググるなりして調査していきます。根拠になる証拠は専用のフォルダにまとめて保存しておきましょう。たまにこの段階で自分の思い込みだったことが発覚し、テーマごとボツになることもあります(涙)

Wordを利用すると単純な誤字や打ち間違いは赤線が付くので機械的に直していきます。

テーマごとに移動や入れ替えも行い構成を直します。

表記の揺れを発見したときは置換機能で単語ごとに作業を完了させます。途中で作業を止めるとそのまま発見されにくくなり危険です。

(ブログ等ではここまでしなくても良いかと思いますが)ミスは全部音読すると見つけやすくなります。

削る

無駄や冗長な部分を見つけ次第、徹底的に削ります。

必然性のない過激な表現は丸めます。


以上、それほど長くないブログ記事を書くのにも同じように使えるかと思います。

実際、簡略的にですがこの記事も同じように書いています。見出し部分が最初のメモで、その中の詳細を肉付けしていっています。


2023/12/02

2024年の投資戦略


来年の相場予想

そろそろ2024年の投資戦略を決めるために来年の相場を予想しました。

毎年この時期にこの作業をしているのですが、その理由は去年も述べたとおり年一回その時の状況を全て含んだ基準点を作っておくと、後から何か起きてもそこからの差分を考えるだけで済むので楽だからです。

こうしておくと今後どんどん状況が変わっていく中で、ここが変わったからここの考えを変えてこうしよう、といった具合にスグに行動できるのです。

というわけで本題に移りたいと思います。

まず結論から言うと、たぶん景気後退は来る。そしてそれはたぶん来年だと思うけれど、もしかしたら再来年までずれ込むかもしれない。はっきりした時期はわからないが来るものは来るので、その「少し」前にキャッシュは株に投入したい、ということです。

その理由は次のようなものです。

大局的予想

まずもうみんな忘れてるかもしれないですが長短金利が逆転してからだいぶ経っています。金利が逆転するとその後しばらくして高い確率で不況に陥ることが知られています。
忘れた頃が特に危ない。それはそろそろではないかということ。


(超短期金利差のグラフ 出典:FRED)

最近は軟着陸の可能性が高まってはいますが、残念ながら過去の歴史からはこれが実現できたケースは極めて稀と言えます。むしろもしそれが出来たらパウエル議長はポール・ボルカーやアラン・グリーンスパンと並ぶ歴代最高のFRB議長と評価されることになるんじゃないでしょうか。
とすると、保守的に予想するなら今回もやはり不況がくる前提にしたほうがよいと思います。

そして最近FRBはインフレ退治のための利上げを打ち止めにしたようですが、それはさらなる引き締めがなくなっただけで相変わらず金利は高水準に変わりありません。これはボディーブローのように景気の下げ圧力として効いてきます。

この予想が現時点での来年の大局観的な流れですが、来年の相場を見て前提となるこの流れが変わらなさそうなら以下の細部の予想のもと投資戦略を練りたいと思います。

細部の予想

その細部の予想とは、今回、FRBは弱い景気指標が出てきても簡単には金利を下げないのではないかという事です。

そもそも今の市場参加者が期待しているように景気の軟着陸が成功したり、現在の株高が継続するなら利下げどころかFRBにとっては利上げ要因になるくらいです。
しかし私はその逆、不況になりそうでもしぶとく高金利を続けるのではないかと思っています。

私がそう思うのは、1970年代の米国におけるスタグフレーションの際、FRBは拙速に利下げを行い金利操作をしくじった歴史があるからです。

その当時、高インフレと戦っていたFRBはインフレが一旦収まりそうになった段階で政治の圧力に負け金融緩和に舵を切りました。これが大失敗で物価上昇は瞬時に火柱のように再燃しFRBはこの後始末に大変苦労しました。そしてこのドタバタをポール・ボルカーが終わらせるまで、FRBの威厳は著しく失墜しました。

(データ出典:FRED)

グラフの一番右を見ると、今回のインフレ局面でもFRBは当初インフレは一時的、と長くアナウンスしコロナからの景気回復のため金融緩和を優先した結果、途中からインフレが暴走して引き締めが後手に回ったことが見て取れます。

これはパウエル議長自身、痛恨のミスだと思っているはずで出口でしくじってまた過去のFRBのように威厳を失ってしまうことだけは避けたいのではないかと思います。
具体的に上のグラフで言えば、相当に長い時間オレンジのラインが青を上回るレベルをキープするのではと予想します。

すると、ちょっとやそっと景気の弱さを示す指標が出たとしても、少し(4%程度まで?)はやるかもしれませんが、大幅にはそう容易くは緩和してくれないのではないでしょうか。
現在CME FEDウォッチを見ると来年半ばくらいに緩和に舵をきるのではというのが市場のコンセンサスのようですが私はこれはやや見通しが甘いと感じます。

いや、確かに最終的には助けてはくれるとは思いますが、それは景気悪化指標が出始めて株が沈没し、海に投げ出された投資家がFRBが助けてくれるはずとチラチラFRBの方を見ている時は起こりません。

それを見た市場参加者が「アレっ!?助けてくれないの?!」と青くなり、さらに最初の二、三人が実際に溺死しギャー!!😨とみんながパニックになりだしたタイミングでやっとそういう話が出始めるのではないでしょうか。
そして実際にFRBからの助け船が来るのは、100人中20-30人が溺死した頃だと予想しています。

実際の投資行動

すると、実際の投資行動としては、できるだけMMF等のキャッシュ同等物で引っ張って5%近い金利をエンジョイしながら、皆が溺れだしてパニックになり、利下げが始まる直前のここだ!というタイミングで投入、というのがベストシナリオと考えます。

そして実際に景気悪化が誰の目にも明らかになるのは、さらにそれから暫くしてからでしょう。

従って金利低下の前に株の大底がくると予想しており、そのタイミングもかなりシビアになりそうと思うので、余った資金はキャッシュにて待機しようと思っています。

もっともその場合でも下げ幅としては大したことはなく、最悪でもせいぜいS&P500で4000レベルではないかと見ています。
これは現在それほど市場に投資家の慢心が溜まってないように感じるのと、相場の足踏みももう2年ほど続いており、その間の経済成長を考えるとある程度のファンダメンタルズの下支えはあると思っています。

なので、2023年の秋ごろに4200レベルでフルポジにした場合は、そのままホールドで全く問題ないと思います。

さらに言えばここまで述べてきたことは所詮お遊び範囲のキャッシュでするべきもので、7割がたの資金は既になんらかのアセットに投資されていなくてはならないと思います。

私の場合はどこからどう見てもこれはバブルでしょう、という時でやっとキャッシュ率を50%にする程度なので、そこからすると今の株価レベルは超長期ではフルポジにしてもなんら問題ないレベルかと思います。

また、下げ始めると例によって「今回は違う」論が出始めると思いますし、ハマス・イスラエルの戦闘後の展開など最近はアメリカの弱体化を示す出来事も散見され始めているので、その時は「アメリカの時代ももう終わり」「従ってアメリカ株ももう終わり」というような論調も流れる事と思いますが、巨大な船はそう簡単に進路は変わりませんので1-2年でそういった方向に全振りするのは間違える確率が高いでしょう。




2023/11/29

イデコ最大のメリット

iDeCo(個人型確定拠出年金)最大のメリットはなんでしょうか。

私は意外かもしれませんが簡単には「おろせないこと」だと思っています。

資本主義社会では投資をしないとお金の面では苦労することになります。しかしどうにもこうにも投資に向いてない人というのは世の中に一定数います。

どんな良い株をもっていても欲しいものが出来たり暴落したりすると売ってしまったり、欲望をどうにも我慢できず散財してしまう。なのでお金が貯まらず種銭もできず、結果投資もできずにいつまでもお金で苦労してる、そんな人です。

そのような人は下手に市場に飛び込めばあっという間に財産を丸ごと失う確率が高いので基本的には株には絶対近づくな、とアドバイスするのもある意味正しいと思います。

しかし、そんな人でも資本主義の恩恵を受けるために巨人の肩に乗るには出来ればなんらかの投資ができた方が良いのですが、そのとき何を勧めるかと言えばやっぱりイデコ一択でしょう。

NISAは途中で売ることが出来るので自分のお金をある程度コントロールできる人にはメリットですが、そうでない人には大デメリットとなるからです。
途中でおろせず、淡々と積み立てる、これを細々と続けていけば定年後には年金とそれなりのプラスアルファが期待でき、むしろ全体の上位3割くらいの、まずまずの生活水準で暮らせるようになってるんじゃないでしょうか。

私だったら、どうにもお金がたまらない、10年投資をしているが損はばかり、という人から相談を受けたらイデコだけして、一切株には近づかないようにアドバイスしたいです。そう言っておけば、晩年にイデコから取り崩したお金でまた株に突っ込んでオケラになることもないでしょう。

ただ、そんな人は自分で積み立ての手続きは面倒がってやらないでしょうから、お手伝いせざるをえないでしょう。
なので、具体的にどんな人にアドバイスするかと言えば、肉親や子供に限定されると思います。

友人や知り合いなどはちょっと余計なおせっかいになりそうですしね。



2023/11/13

健康診断


FIREして仕事を辞めた後、毎年秋には欠かさず健康診断を受けに行っています。

FIRE後に最初に受けた健康診断では仕事をしていた時に悪かった数値が全部一気に良くなっていて笑ってしまったのですが、それで気が緩んでアルコールや油っぽいものを気にせず食べていたら、今回さすがにお仕置きのような数値に逆戻り💦

ということで再検査までの3か月間、粗食&アルコール控えめのトホホ生活を送っています。

まあ健康資源はお金では買えないから仕方ありません。早め早めに手当てして行かなくては。

ウォーレン・バフェットの名言は多いですが自身の体についても「もし一生のうち1台の車しか使えないとしたら、きっと大事に乗るでしょう。調子の悪いところを発見したらすぐに修理すると思います」というような事を言っていました。

肉体はある意味遺伝子の乗り物のようなものですから、車に例えるのは言い得て妙というものです。

もちろん仕事でその唯一の乗り物を壊すなんて本末転倒・馬鹿馬鹿しいことだけは、みなさんもやめましょう。


2023/09/22

投資本の読後感想「超実践! 順張りスイングトレードの極意 荻窪 禅 (著)」

久しぶりに投資関係の書籍を読みました。今回は日本の本です。

私のkindleには未読の投資関係の訳書がかなり溜まっているのですが、訳書は独特の読みにくさがあるので読み始めるのにどうしても気合いが要ります。

今はちょっとその重い腰が上がらないので、今回は和書を選択しました。やはり日本人によって書かれた本は読みやすいですからね。

初心者は読みやすい和書の中で良いものから読むのも一手でしょう。訳書には優れたものが多いのですが、読むのに挫折してしまっては元も子もないですから。

ということで今回手に取ったのはこの書籍。

超実践! 順張りスイングトレードの極意;損小利大がどうしてもできない人のために  荻窪 禅 (著)


これを選んだのはボラティリティによるトレンド判断に関する内容だったからです。

実は私は重要な買い場判断にボラティリティを参考にしています。私がこれまで主に見ていた指標はVIXで、これを参考にした投資は我ながら得意と自負している一方、長年課題も感じていました。

というのも私のこれまでの投資人生の中で超長期の3回の上げトレンドがあり、このうち2回は乗ることに成功したおかげで今があるのですが、裏を返せば一回は失敗したということです。

この失敗がなければあと2年は早くFIREでき、資産も倍になっていたかもしれないと思っているほどです。

成功したのはリーマンショック後のラリーとコロナショック後のラリー。失敗したのは2016年からのGAFA中心のラリーです。

この成功と失敗の違いは何かというと、成功パターンが暴落後のからのトレンド転換なのに対して失敗はヨコヨコからのトレンド転換という差です。そう、VIXを参考にしている限り、ヨコヨコからの変化は掴み難いのです。

また、ある程度資産ができた今となっては、VIXではヨコヨコからの突然の暴落から資産を守れないという課題もありました。

もちろん、今私がメインにしているインデックス投資とはそういった上げも下げも付き合っていくほうが結果的にまあまあよい結果になるというものですし、実際それがベターなのですが、これから起こりそうなことを予め予想できるという事は、実際に売買を実行するかどうかに関わらずメリットは大きいと思います。

例えば事前にある程度下落が予想できるなら、どちらにせよ生活費として取り崩す予定だったのを早めにやっておくとか、売らないまでも少し買い増しするのを停止しよう、などさまざまな対応ができます。

本書はまさにそんな私のニーズに合致したというわけです。

ちなみに、ボラティリティはチャートを元にしたものですが、チャート由来のテクニカル指標に関してこれまでの私の基本的なスタンスを述べておきます。

まずテクニカル指標は単にそう信じている人が多ければ多いほど本当にそう動く、という面があります。そこに動意の根拠はなくとも構いません。

極端な話、単にテスタさんが買ったせいでチャートが動いたら、その動きを根拠にトレードするトレーダーが集まってきて、本当に相場になる、ということも起こりえるのです。勿論、長期的には実需がトレンドを作り仮需がボラティリティを作るので、それはごく短期で終わるはずですが、それでも一時的には実際に株価が動くことは事実です。

テクニカル指標はそういうものですから信者の数が一番大事なのです。現時点で米国株で一番信者が多い指標は、米国株で有名な広瀬隆雄氏によると50日200日移動平均線とのことなので、それが最も注目に値する指標であって、他の信者が分散している細かいマイナー指標は私はあまり利用価値を感じていませんでした。

その点トレンド転換点を示すパラボリックや、著者が推薦するボラティリティブレイクアウトは移動平均に比べるとややマイナーな部類に入るでしょうから、私個人の価値観では注目度はもう一つということになります。

この点について特にどうなんだろう?と念頭に読み進めていったところ、いやはや、これは自分の了見の狭さを痛感しました。

本書では盲目的にシグナルに従うのではなく、同じ指標でも短期・長期・市場を変えて何パターンも見て、さらに他の指標やファンダメンタルズまでも勘案して判断すると述べられています。

つまり、シグナルは「どんな時でも冷静沈着な優秀な部下」の助言として自分を自制するために利用するわけです。あくまで主体は自分なわけです。なるほど、言われてみれば当たり前なのですが、なぜこの点に今まで気付かなかったのか。それならばこういったテクニカル指標は見ないと決め打ちするのではなく、知っておくことでメリットがあろうというものです。

また、本書を読んでいてハタと気づいたのが、こういったシグナルを利用するメリットとして、市場の優秀なプレイヤーの間では当然とされているにも関わらず、自分が咀嚼できていないことに気づく、という事があります。

私が2016年からのラリーで置いてけぼりをくらったのも、私がアメリカの景気への疑問を持っていた横で、市場の優秀な人はとっくに不況のリスクは去った、というのが共通認識だったことになります。

チャートにはそういった市場の総意が現れてきますから、仮にチャートだけ見ていても何かの異常には気づくはずだったのではないか。

そう思った私は、さっそく本書で紹介されていたTradingViewというサービスでS&P500の当時のボラティリティブレイクアウトを調べてみることにしました。



上はその結果です。これを見ると2015年9月ごろには下げトレンドに転換。2016年の春過ぎには明確な上げトレンドに転換しています。

もちろん、このストラテジー作者によるバックテストで過去のチャートに最適化した結果、このような明確なサインになっているかもしれません。しかしそれを割り引いてもリーマンショックやコロナショックでもなかなかのサインを出しているように思えました。

従ってもし私が当時このボラティリティブレイクアウトを見ていたら、この明確なトレンド転換シグナルを見て自分に何かの間違いがあることに気づき、途中からでも大きなラリーに乗ることができた可能性があったのです。

また、今後にじわじわと下がり始めた場合でも、それが脱兎のごとく逃げだすべきなのか、いやいやまだ一時的な調整なのか、という判断の際の助けになります。少なくとも一部のトレンド転換がシグナルを出し始めた段階で、警戒モードに入ることはできます。

そのことで、自分の中で注意すべきニュースなども変わってきて、より精度の高い予測が可能になるでしょう。その上で実際の売買をするかどうかは、もう一段上で考えたらよいのです。

つまり本書で推奨されるボラティリティブレイクアウトを利用することで

  1.  自分が咀嚼できていない要因に気付くことができる
  2.  トレンド転換した可能性の警戒モードに入ることができる

というメリットがあるわけです。

また、本書はボラティリティブレイクアウトを利用したトレードを主眼に置いた書籍ですが、トレードにおいての鉄則は1にも2にもリスク管理(生き残り)であり、トレンドフォロー(順張り)です。

そういう基本も勿論述べられていますし、その他日本市場独特のクセやトレード時の心構え等、興味深い内容が多く、しかも読みやすいので初心者から上級者までおすすめできる内容となっています。


2023/08/12

ぼくが投資で3億ためてFIREした話〜2008年 リーマンショック その4~

     


 

それから数週間後、ぼくが記念で買った銘柄はどれもこれも、強烈な戻しを見せていた。経済が崩壊し恐慌や戦争も起きかねないこの状況を鑑み、政府が銀行を救済しFRBは一気に非伝統的な資産を買い入れる金融緩和を行ったからだ。これによりリーマンショックという、100年に一度級の資本主義の危機はようやく収拾に向かっていったのである。

 

結果的にいろいろな葛藤の中でぼくがやった行動は、暴落時に見込みのなくなった株を売ってこれから成長が見込める株に入れ替えるというものだった。実はこれ、運悪く暴落に巻き込まれてしまった場合に唯一できる最善の行動だったのである。

どんな時でも市場に居続けるのは株の鉄則だ。であれば、暴落時にできる事はこれしかないのである。ぼくは偶然そのような行動をとっていた。これにより資産は再び一千万円を回復し、ぼくは首の皮一枚で退場せずに済んだ。

 

ところで一般的な話になるが、人が成功するために必要な能力は二つあると思う。それはチャンスをチャンスとして認識できる能力と、チャンスを増やすために不断の努力を続けられる能力だ。結婚や仕事、その他なんでもそうだ。しかしながら、普通は最初の「チャンスを認識する事」もなかなかできないものである。

人はなぜチャンスを認識できずにスルーしてしまうのだろうか?ぼくが思うに普段から考えていないからだと思う。
 これはある人から聞いた話だが、人は見たものや聞いた事のほとんどを脳のどこかに記憶しているそうだ。確かに覚えようとしていなくても、この文章どこかで読んだことがあるな、とか、この景色どこかで見たような気がする、という経験は誰にでもあるだろう。でもそれは無意識の範囲の記憶であって、通常の生活で思い出されることはない。

しかし、何かについて必死に考えた後は、人は何かを見たり聞いたりした拍子にその無意識の中から関連するものが呼び起され、何かに気が付く、というか引っ掛かる感覚を覚えることがある。これがチャンスを認識するという事だとぼくは思う。

だからその無意識を最大限利用するには、常に解決したい事に関して問題意識を持っている必要がある。株についてもずっと考えていれば自ずとチャンスは見えてくると思う。

そして株の場合においては、暴落はチャンスなのだ。なぜそんな絶好の球を見送りにしてしまう?暴落は思いっきりバットを振るタイミングなのだ。しかも結婚や仕事では自らチャンスを作るための努力も必要だが、株式投資のチャンスは待つしかない。つまり発見するだけで良いのだ。これはある意味楽かもしれないのだから、チャンスと見たら思い切り動くべきだ。

 

さて、ここでやや唐突だが、この話のタイトルにあるようにぼくは最終的に資産3億を達成する。

この時の買い注文クリックは、まさにそれを現実のものとするための大きな分岐点だったといえる。一度諦めたその先でのこの買いは、資産どころかぼくのその後の人生そのものを一変させるほどの大きな分かれ道だった。まさに1クリック3億円の価値である。もしこの1クリックが無かったら、ぼくの人生は全く違うものになっていたはずだ。

なお、ふりかえってみれば目標を達成するために大きな分岐点は2つあった。その一つ目はまさにこの時、2つめの話はまた後ほどしよう。

【書籍(現在出版準備中)へ続く】

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2023/08/11

【重要なお知らせ:Twitter(現X)からの転載】

当ブログで連載中の「ぼくが投資で3億ためてFIREした話(仮)」が、なんと、彩流社さんより書籍として出版されることになりました!よろしくお願いいたします<m(__)m>。経緯を詳しく説明しますね。

この連載を始めて間もなく、SNSでお世話になっている方から出版のお誘いを頂きました。しかし私は本のネタを持っていなかったので、それなら今連載しているこの話はどうですかね?と提案したところ、編集者の方をご紹介いただきました。

そこで編集者の方に今後の展開を一通りお伝えしたところ、有難いことに非常に前向きなお返事を頂きました!

しかしひとつ気掛かりなのは、出版となるとどうしても無料のブログよりは手軽さという面で届く人の数は減ってしまう事。その点どうしようかな、と正直迷いました。

しかしまず出版はプロの編集者により格段にクオリティは上がります(これはありがたい)。そしてブログは瞬間的に消費されていくが、書籍は地道に長期間残ります。だとすると結果的にこちらの方が多くの人に届くのではないか?と思いました。

私としては「クオリティ高い物を出来るだけ多くの人に届けたい」のが一番ですので、総合的に判断して書籍化に全力を尽くすことにしました。

一方、ブログの連載はどうするのか?という点ですが、出版社と話し合ってこのままリーマンショックの章までは継続することをご了承頂けましたのでそこまでは続け、それ以降は書籍へ譲ることにしました。

書籍のボリューム的には、この後の展開の方が分量も密度も多いので、体感ですが公開済みの3倍くらいになると思います。

さらに書籍では、これまで公開してきた部分についても編集者の手で大幅に改善されることはもちろん、私自身も内容を加筆する予定ですので、ここまで読んでくれた方でも新しい発見ができるモノになるよう努力しています。

発売は今冬の予定ですので、その際はぜひ手に取って頂ければと思います<(_ _)>

著者名は「北原 銀二」となります!どうぞ宜しくお願い致します!

2023/08/05

ぼくが投資で3億ためてFIREした話〜2008年 リーマンショック その3~

     


 

それから数日後、ぼくはあるカフェにいた。仕方なく重い腰を上げて敗戦処理を始めるためだ。

パン屋と併設されているこのカフェの窓からは緑と湖が見え、早朝過ぎると客はまばらになる。これは少し気分を変えて仕切り直しについて考えるにはちょうど良い環境に思えた。相場を見ると吐き気がするのは相変わらずだったが、毎日自分の資産がめちゃくちゃになっていくのを見て見ぬふりするのはもっと辛い。ならば、とりあえずこの一番嫌な作業だけはなんとか終わらせて、終わった後にしばらく休もうと思った。

 

当時のぼくのポートフォリオの内訳は、中国株をメインに日本の配当株などをサテライトで投資したものだった。中国株の保有銘柄は日本人に人気になっていたものが中心で、特にヤラレがひどかったのが万科企業と言う不動産銘柄だった。たしか買値の10分の1になっていたと記憶している。

ぼくはまずこの万科企業を損切りした(※1)。1つ損切りすると少し気が軽くなって、この勢いに乗って日本株を含む他のものも損切りした。口座残高は見るも無残となっていたが、これ以上減ることがないと思うと少しほっとしたのは確かだった。

翌日、我に返ったぼくは、あれこれ考えていた。そこで初めて気付いたことだが、ぼくが投資していた中国株よりも震源地であるアメリカ株の方が断然ヤラレは少なかったのである。なぜ爆心地であるアメリカがのうのうとしているのに、ぼくが資産を数分の一に減らさなければならないのか。当時は納得がいかなかった。

 

少し脱線するが、これについて今現在思うところを少し述べる。

 

端的に言えばぼくは強烈なレパトリエーションに巻き込まれてしまったのだ。例えば市場規模が10A市場と、5B市場があったとしよう。投資家が両市場ともに3の量を投資していたとする。

それが今回のようなショックが起きて市場からお金が引き上げられた場合、市場に残るお金がどうなるかというとA市場が7/10B市場は2/5となる。通分すれば7/104/10だ。その結果、B市場の方がダメージは大きいのである。もちろんA市場がアメリカ、B市場が中国である。特にリーマンショック前まで中国株は世界中で人気だったので、相当の量が世界から投資されていたはずである。それが全部引き上げられたとなれば中国株がダメージを受けるのは当然だったといえよう。

ぼくはこうして煮え湯を飲まされてしまったのだ。しかしこれは、このあとぼくがアメリカ株に転向する一つの要因にもなった。

 

話を元に戻そう。

 

ぼくは残ったなけなしの600万円を前にこれからどうしようか悩んでいた。もう株は辞めるとしても、日本のどこにもこのお金の持って行き場所はなかった。そもそも株以外の投資先がなかったから株を始めたのだから当たり前である。でもその株ももうだめだ。

そう思いつつ、ぼくはパソコンを開いて虚ろな目でいくつか過去に欲しかった銘柄を見ていた。何か目的があって見ていたわけではない。考えがまとまらず、ぼくの指が長年の習慣から勝手に動いてパソコンを操作していただけだった。

そこにはどれもこれも、見るも無残な株価が並んでいた。一時はあれだけみんなが欲しかった憧れの銘柄。PERで割高になって買えなくなると、PSRで見れば妥当だとか、割安でなくても良い銘柄ならいつでも買う方が良いとか、誰もがむりやり自分を納得させてまで買った銘柄達。それらが全て、今まさに捨て猫のような株価で放置されていた。

 

ぼくが若い頃「たまごっち」という大ヒット商品があった。どこに行っても品切れで、入荷情報があれば店の前には徹夜で長蛇の列が出来た。一部では定価をはるかに上回る値段で取引されていたようだ。

しかしそのたまごっちもブームが過ぎると店頭に山積みとなった。投げ売りの末期では3個で1000円でも誰も見向きもしなかった。ぼくは心に何か悲しい思いがしたのを覚えている。このリーマンショックは、脳裏にそんな思い出がフラッシュバックするほどだったのである。

 

この時、ぼくはふと思った。ぼくのこの5年間の人生を捧げた記念として、また今回のこの過ちを忘れないようにするために、あえてこのゴミのように捨てられている株を拾ってやろうかと。

―――もうどうでもいいんだこんな金、こんな金持ってるから思い出すんだ―――

―――毒を食わらば皿までだ―――

そう思ったぼくは、そこに並んでいるアリババ、テンセント、Google、米国高配当株(のいくつかを纏めて自分でバスケットにしたもの)の中から、アリババ、Google、高配当株の3つを選んで200万円ずつ投資した。

 

なお、この時テンセントを選ばなかったのは、その後10年間の投資人生の中で最大のミスとなった。


1 このときの約定価格は、なんと万科企業のリーマンショックザラ場最安値。リーマンショック時の万科企業を最安値で売ったのは私でした。。。

【次回、リーマンショック編 最終回へ続く】

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2023/07/29

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2008年 リーマンショック その2~

     


 

さらにぼくの受難はこれだけでは終わらなかった。

ぼくが株に入れ込んでいると言う噂は会社の同僚に知れ渡っていた。もちろん自分から積極的に公言したつもりはない。しかしなんせ頭の中のほとんどは四六時中株のことを考えていたのである。こうなるとなかなか隠し通せるものでもない。何かの雑談の拍子にぽろっと本音が出ていたのだろう。

そしてテレビやネットでは連日、リーマンショックの話題でもちきりなのだ。同僚たちからしたら、このぼくの状況は「メシウマ」以外の何物でもなかっただろう。ろくに仕事もできないくせに、一発逆転を夢見て株なんていうギャンブルになけなしの全財産を突っ込んでいたキチガイが大損したに違いない、と。

そしてそんな同僚たちの財産は全額円預金でびくともしていない。いやむしろ(彼らはその意識はなかったと思うが)強烈な円高によりその価値は大きく増していたのだ。するとちょっと軽い気持ちでからかいにくる者も現れる。

 

「株、すごい下がってるみたいだけど大丈夫?笑」

「株、まだ下がるってテレビで言ってるよ!どうするの?笑」

 

青い顔で廊下を歩いているぼくにすれ違いざまや、自席で仕事が手につかなくなっている時、入れ替わり立ち代わりそんなことを半笑いで冗談交じりに話しかけてくる同僚や上司たち。

もちろん彼らに悪気は無いだろう。ぼくがそんな精神状態になっている事など知る由もないのだから、本当に軽い世間話のつもりであろう。しかし当時のぼくにはそれを笑いに変える余裕はなく、ただただ苦笑いでその場をごまかすことが精一杯だった。

しかしまだ明るい昼間なら良い。夜は本当につらい。夜暗くなってから歩いて帰っていると、何かに押しつぶされそうな感覚を覚えた。

 

株は結果が全てだ。ぼくは負けた。一時は心の中でバカにしていた「同僚達の方がバカ」なんてのはとんでもない話で、バカなのはぼくだったんだ。

そもそも彼ら優秀な同僚なら投資をやらせてもぼくより上手くやったに違いない。頭も要領もよく仕事も出来る彼らなら、きっとそうだろう。そんな優秀な同僚たちでさえ、ぼくが株にうつつを抜かしている5年間、必死に仕事でスキルを磨いて実績を積み上げていたのだ。どちらが正しかったのかは言うまでもない。ぼくはこの時30代半ば。もう絶対に彼らには追いつけないだろう。

 

ぼくはウサギとカメのカメだ。しかし昔話と違うのは、ウサギである同僚たちはその高い能力で休まず走り続け、能力の低いぼくは怠けていたのだ。この差はもう埋め切れないほど広がっていた。これが本当の社会だ。強いものはより強くなり、弱いものは淘汰される。現実世界で勝つのはウサギであってカメではない。なぜこんな当たり前のことに今更気づいたのか。もう負けを認めよう。負けを認めてやり直そう。

ぼくは物事に失敗した時、いつもやることがある。まず落ち着いて、今もっているものを確認して、これを元にどう再構築していくか考えるのだ。ぼくは負けを認め、心を入れ替えて新人になったつもりになり、優秀な同僚がいかんなく能力を発揮できるよう、サポート的な業務から地道にやっていくしかないのではないか。そんなことを考えながら帰宅した。

 

暗い夜道を歩いて帰ってから少し食事などをしてみたものの喉を通らない。まるで脳の中心に大きな鉛玉を埋め込まれたようだ。少し別のことをしてみようと思いぼくはパソコンをつけた。

そうだ、世の中にはぼくと同じような思いをしている人もたくさんいるに違いない。彼らはどうしているんだろう。そう思ったぼくは株式掲示板を見に行った。そこは次のような書き込みで溢れていた。

 

「なんで下がるってわかってるのに株なんて買うの?バカなの?」

 

「買い豚の皆さん、今日もご馳走様でした!(^^)

 

「ホルダーのみなさん今どんな気持ち?ねぇねぇ^ ^

 

ぼくはそっとパソコンを閉じた。そして翌日もその翌日も、相場は下げて行った。掲示板の彼らの言うことまで正しかった。

いや、掲示板だけではない。日経やブルームバーグ、テレビの経済専門番組といったトラディショナルなメディアも、学者やエコノミストといった識者も、言葉はきれいだが全て言っている事はほぼ同じだった。

世界で間違っているのはぼくだけだった。

【次回へ続く】

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2023/07/27

FIRE民の罪


今、日本は完全にシルバー民主主義の様子を呈しており、老人ばかり得をして現役世代が割を食っている状況だと思います。

そして、これは暫く直りそうもないので、個人単位で見れば現役世代は社会が変わることを期待して今のまま耐えるよりも、さっさと自分だけが良くなるにはどうしたら良いかを考えて実行したほうが手っ取り早いです。

FIREとはその実行例の一つです。特に今の日本においてFIREすることは、ある意味老人側に回ることとなり、いったん老人側に回れば、今強烈に不満に思っているシルバー民主主義は逆に自分の恩恵になる居心地の良い環境となるでしょう。

具体的には収入をフローからストックに変えることで、健康保険・年金・税金が格段に安くなり、いかにリタイアした老人が楽に暮らせるかを実感できます。これぞシルバー民主主義。

しかし、ある意味これは利己主義の極致です。

なぜなら、まだ働ける人がFIREすれば、ただでさえ多い老人が実質的にまた増えることになり、余計に現役世代の負担が増えるからです。まさに神輿の担ぎ手が、潰されると見るや神輿の上に駆け上がるようなものです。

このような行為は信用取引のトレード等では大いにやるべきというか、そもそも相場とはそういうものですが、これを現実社会でやるのはいかがかとは思います。  
FIRE民の一人の私が言うのもなんですが、こんなことが日本の子ども達や、日本の将来のためになるとは到底思えません。(まあ私も一応28年も働いたので、そろそろ勘弁してくれよ、とも思いますが)

これの処方箋としては、得意な仕事だけできる職場にすぐ移動できる雇用流動性も一つの解決法でしょう。なぜならFIREした人でも働くのが嫌いなわけでなく、単に日本の伝統的な会社の閉塞感が嫌なだけの人は多いと思うからです。

そういう社会になれば若い人が働かなくなることも少しは減るかとは思いますが、残念ながらそういう社会は当分来なさそうなので、結論しては私は利己主義で全然構わないと思います。これは現社会への静かなる抵抗というか、もはや仕様がないことだと思います。  

ただ、その場合でも社会を変えよう、世直ししよう、としている人の邪魔はしたくないと思います。私は世の中を変えようとしている、自分にできないことをしている人をリスペクトしているからです。

例えば選挙で、マイナンバーで資産を補足し、余裕のある人には年金や健保をもっと払ってもらおう、という政党や候補者がいたとします。これは私自身にとっては不利益だけど、私はそういう人に投票します。もちろん、無駄な医療などをやめるのは前提ですが。

また、私もそうですが、世の中の99.99%以上の人はそもそも世の中を変えられない人です。それができる才能を持ってる人は0.01%以下であり、そういう人は、このようなブログを読むヒマもなく、もう勝手にやっています。

そういう人は止めても勝手にやる、絶対にやる、そういう人であって、今行動していなかったり、文句を言うだけだったり、何かに迷っているなら、あなたは間違いなく99.99%側にいる人です。

なので、普通の人は下手に世の中に不満を感じるヒマがあったら一刻も早く利己主義側に考えを全振りした方がいいのです。

ただ、繰り返しになりますが、その場合でも世直ししようと努力している人の足を引っ張ったり、揶揄したりはして欲しくないと思っています。


2023/07/22

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2008年 リーマンショック その1~

     


 

その危機はひたひたと訪れた。ドットコム・バブル崩壊から立ち直ったアメリカでは、サブプライム証券なるものが発明されていた。

サブプライム証券とは金融工学を駆使し信用力の低い債券をまとめることでリターンあたりのリスクを下げ、ミドルリスクハイリターンと言う魔法を実現したデリバティブ商品だ。好景気にこれもあいまって信用は膨張し世の中にはお金が溢れ、アメリカ経済は大きく成長していた。

しかしそのデリバティブが内包するいくつかの債券にデフォルトが発生し、それが一定の閾値を超えた瞬間、魔法は崩壊した。アメリカ中のほとんどの金融機関がそのデリバティブを保有していたため銀行同士が一切他行を信用できなくなった結果、全くお金が流れなくなり、完全にアメリカの血液が止まった。金融システミックリスクである。

 

これを例えて言うならば、大量に保有していたヴィンテージワインの樽に泥が一滴混じっていたことが突然わかったようなものだ。一滴でも泥が混じったワインは無価値だ。資産だと思って大事に保管していたワインが、ある日突然無価値になってしまったのだ。しかもまずいことにそんなゴミを誰が持っているか分からないのだ。

―――あいつも持ってるんじゃないか?こいつも持っているんじゃないか?―――

疑心暗鬼になったアメリカの金融機関は、誰一人他人にお金を貸さない、という状況に陥っていた。これにより特にサブプライム証券の持高が大きかったリーマンブラザーズが破綻、リーマンショックと呼ばれる株価の大暴落が発生したのである。

このリーマンブラザーズが救済されず破綻、という衝撃的なニュースが意味するものは、この後に控えているもっと巨大な金融機関が次々と連鎖的に破綻していく事を意味した。この事実で、市場の恐怖は絶頂に達した。そしてこの世のものとは思えないほどのパニック的な大暴落となったのである。

 

市中からドルが全く無くなってしまったため、この日のFXでのUSDスワップはとんでもない数字だったのを覚えている。レートもすべての通貨で軒並み5%から10%も動く大波乱の殺人的相場となった

これだけ突然動けばレバレッジを掛けていたら即死だ。しかしFXでノーレバレッジの者などいない。インターネットのFXスワップ派のブログは阿鼻叫喚のるつぼと化し、そして少しの間をおいて全てのブログの更新が止まった。

その様子は、まるで戦場でつい先程まで息のあった負傷兵が、暫くして再度声を掛けたら絶命していたかのようだった。

――死んだか…(相場での退場)――

ぼくはそう思った。しかしこれはもう不可避な出来事だった。そもそも損切り注文しようにもレートが飛び過ぎて約定しないし、サイトによってはその注文自体もシステムエラー頻発で出せないのだ。できる事といえば取引会社から来る信じ難いレートでロスカットされた報告メールを待つ事くらいだ。もはや誰もが座して死を待つしかなかったのだ。

右を見ても左を見ても死体の山、息をしている者など一人もいない。株式・債券・為替・商品、どこの市場を見ても血みどろのまさに地獄のような光景だった。

この資本主義始まって以来の大事件は100年に一度といわれ、資本主義は終わった、これから一体どうやってこの社会を再生していけば良いのか、と世界中の誰もが途方に暮れていた。

 

そしてこの大嵐の中、ぼくの資産も深刻なダメージを受けていた。

それでもこの暴落の直前までは、ぼくの資産残高は年初からジリジリと下がっていたものの、かろうじて投資を始めてからの累計ではプラスを保っていた

しかし、リーマンショックの大暴落は全く次元の異なるレベルだった。含み益は一瞬で消えさった。

あまりにも一瞬の出来事だったので、ぼくはどうする事もできず、ただただ狼狽えていた。これまで5年間かけて積み上げてきた含み益、それが砂上の楼閣に過ぎなかった事。それをこの短い時間でどうしても認める事、受け入れる事ができず、頭は大混乱していた。

 

しかしぼくがうろたえている間にも、暴落は一切容赦しなかった。容赦するどころか、ますます勢いを増してぼくに襲いかかってきた。

ぼくの含み益を完膚なきまでに破壊したマーケットの悪魔は、次はぼくが投資を始めてから働いて節約して、コツコツ努力して作った元本をも容赦なく食いつぶして行った。さらにそれでも飽きたらず、ぼくが社会に出てから投資を志すまでに貯めた額にまで牙をむいてきた。

この時、ぼくは学校を卒業して社会に出てから10余年。その間に築いてきたもの、それがたったの数日、10年間以上の努力の結晶が本当にたった2 3日で、大部分が消え去った。この10年間は一体何だったのか。ぼくは失意のどん底に落ちた。

この日、ぼくはマーケットという巨人に踏み殺される蟻だった。

【次回へ続く】

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2023/07/15

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2007年 異動その4 ~

   


 

投資で金持ちを志してから2年ほどの月日が流れた。

 ぼくの会社内での評判は地に落ちていた。
楽園部署がお取り潰しになって花形部署に異動したぼくは、たった1年で同僚や上司からの信頼を失い、追い出されるように他の地味な部署へ異動となっていた。

そりゃそうだ。仮にぼくの脳を10個の並列処理装置に例えるなら、1個は自分が生きるための食事や睡眠について使い、3個は家族が生きるための様々な手続きや段取りについて使い、残りの6個うち3個は投資について処理していたのだ。申し訳ないが仕事に使っていたのは残りの3個のみだった。こんな状況では花形部署で仕事になるはずもない。

何せ花形部署はエリートでないと勤まらない所だった。英語ができるのはマストで、それプラス当然のように何らかの専門分野に長けている。文系なら国際的な会計や法律に明るく、第二外国語も当たり前。理系であれば英語ベースの論文や資料を読みこなし常に最新のレベルをキープできるような人材でなければ仕事にならない。そんな同僚たちの出身校は言わずもがなである。

世間では東大や京大なんか出ても何の役にも立たない、などと言う人がいるが、あんなものはうそっぱちだ。彼らは大体において集中力を持続できる時間が驚異的に長い。長すぎる。ぼくが10分で頭が疲れてしまうところ、何時間でもその集中力でやりきる。あれこそが受験を勝ち抜いてきたモンスターだ。

そんな中1人、今風に言えばFラン出身で、まして頭の3割しか動いてないようなぼくに何ができよう。こうなるのは当然の結末である。

 

ところでこれは余談だが、そうやってド底辺の窓際まで落ちた社員から見ると、周囲のどの社員が出世するか簡単に見分けられる。

この会社で昇進していく人というのは何事にも手を抜かず、誰に対しても差別せずサービス精神旺盛なのだ。ぼくのような底辺社員から来たメールでもすぐに返事をする。部長・本部長以上になるには、プレイヤーとしての能力プラス人徳が必要なのだ。

逆にせいぜい課長止まりで終わる社員は相手によって態度を変える。もちろんぼくの依頼は後回しだ。これはかなり高い確率で見分けることができた。ひどいケースでは話しかけても返事もしない人がいたが、その人はやはり係長止まりだった。しかもこの会社のいやらしいところは、それ以上昇進させないと決めた管理職からは露骨に部下を抜いていく。この人も最後は部下1人の寂しいチームリーダーだった。

 

それはさておき、その底辺社員がなけなしの頭を使ってやっている投資の方はどうだったかと言うと、これはソコソコ順調に来ていた。

いろいろと試行錯誤を重ねた結果、投資スタイルは成長国への長期投資に落ち着き、まずまずの成績を残せるようになっていた。金額的にそれほど儲かっていたわけではないが、投資の世界では負けないだけでも大したものなのだ。

ぼくはまあまあの高給に節約を重ね、入金力を最大にした上で年平均数%の利回りを実績として出しており、ようやく資産規模は一千万円を超えたところだった。株はかなり昔から多少嗜んではいたが投資を真剣にやろうと決めてからはまだ僅か23年だ。それでここまで来られれば及第点ではないか。

これならこの先も何とか続けていける、ぼくの心には少しそんな自信が芽生えてきた。

確かに道はまだ長い。一千万円の資産が生み出す収益は給料に比べれば微々たるものだ。しかしこれを続けていけば、きっとぼくは金持ちになれる。今仕事なんかに時間を使っている同僚たちはバカだ。これまでの人生は圧倒的に勝ってきたかもしれないが、肝心なところが抜けている。絶対に最後に勝つのは自分だ。ぼくはそう意気込んでいた。

 

しかし、その意気込みは長くは続かなかった。その時は突然にやってきた。

2008年、最初はジリジリと下がるだけだったのだ。それが突然あんなことになるなんて、予想だにしなかった。

【次回へ続く】

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2023/07/11

株式投資の努力は報われるとは限らない



 株式の中長期投資はリサーチに時間をかければ成績が良くなると言うものでもありません。

 これは能力が在るか無いかにはよりません。例えば、超優秀なソフトバンクGの孫社長は、片手間にやっていた大昔にはヤフーやアリババなどのダイヤモンドの原石を次々と見抜き、投資で驚異的なIRR(Internal Rate of Return、内部収益率)を達成していましたが、こんなに儲かるならとこれを本気でやることにして全リソースを投資に割いてから、今のところは逆に投資成績は下がっているようです。

 また、ファンドマネージャー等も優秀な人たちが業としてがっつりと株のリサーチに多大な時間をかけていますが、結果ほっとらかしのインデックスに勝つのは至難の業です。
 プロでさえこれなのですから、情報量の少ない個人がリサーチしたところでなおさらです。そもそも働いたことのある人なら誰でも分かってると思いますが、会社というものは社外秘だらけで、特に株価に大インパクトのある情報は一般にはかなり後でないと出せません。なので一番株価に大事な情報抜きで定量・定性分析しても。。。という感じです。

 このように中長期の投資はどんなに能力があっても時間に比例して収益が上がるとは言いづらいと思っています。例外はバフェットくらいです。

 これは私が思うに凡人は時間が無いほうがかえって物事の優先度が決めやすく、重要なところに目が行く(というか他を見るヒマがない)ためではないかと思っています。細かいところ見る時間があればあるほど迷いが生じて判断ミスを生むのです。

 人間ヒマがあると余計な事をしだすもので、定年退職したサラリーマンが老害化したり、仕事の無い人がネットでヘイトや誹謗中傷を書き込んだりしだすようなものです。時間が無ければそんな事する人じゃなかったのに…という感じですね。

 ということで、もし今投資に割いている時間で十分に結果が出ているなら、あえて専業になる必要はないと思っています。むしろ専業になった暁には投資にかける時間を以前と同じ範囲にする努力が必要になるほどです。

 もちろん今結果が出ていないなら、まだまだ勉強が足りないのでもっと時間を割いたほうがいいかもしれませんが。


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2023/07/08

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2006年 異動その3~

  


 

ひとまずこの仕事を続けることにはしたものの、このままでは埒が明かない。なんとか食い扶持があるうちに次の一手を考えなくてはならない。そこでまず、ぼくは世の中の金持ちが一体どうやってそうなったのかを調べてみることにした。

幸いなことにこの時期になるとすでにインターネット上に様々な情報が上がっており、ほんの10年前では一般人は絶対知り得ないような情報まで簡単に手に入れられることができるようになっていた。ぼくは毎晩毎晩、貪るようにそういった情報を集めた。するといくつかのパターンが見えてきた。

まず金持ちと言えば金持ちの家に生まれなくてはならないと思っていたが、実はそうでもないことがわかってきた。もちろんそういう人物もいるにはいるが、むしろそれは少数派で、桁違いの金持ちの経緯は大体以下の3種類に分けられる。

 1つは類稀な才能を持っているパターン。スポーツや芸能など、その才能をいかんなく発揮し金持ちになるパターンだ。

 2つ目は起業して成功するパターン。これが1番多い。

 3つ目は投資で成功するパターン。しかしこれはおそらく1番少ない。ざっと調べた範囲では成功者の10分の1位ではないだろうか。もしかすると金持ちの家に生まれるよりも少ないかもしれない。

 さて自分はどうするか。

データから考えると起業するのが1番いいのだが、ぼくにカリスマ性やリーダーシップがないのはすでに述べた。だからといってぼくはスポーツも漫才も出来ない。小学生の頃から才能でクラスのみんなから一目置かれたことなど1度もありゃしない。これはやらずともダメなのは明白だ。

すると消去法で投資をするしかなくなる。金持ちへの道としては1番狭き門だが、仕方ない。ぼくにはこれしか残されていないのだ。やむを得ない。

ということでぼくは投資をすることにした。

それからと言うもの、ぼくは投資の勉強を本格的に始め、頭の中では仕事はソコソコに投資でいっぱいになった。


【次回へ続く】

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2023/07/01

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2004年 異動その2~

 



  この時期、ぼくの頭の中ではいろいろな思いが渦巻いていた。

まずここは前の会社のようなワンチャンスは一切無いが、しかしながら冷静に見てソコソコ高給であるということ。そして自分はここではやっていけないと思うが、だからといって次にするあてもないという事だ。ぼくはごちゃ混ぜになった頭で、これからどうするべきか考えていた。

まず高給とはいえ役所のような会社だという事は、簡単にこれから後30年後までのレールが予想できてしまうのである。それはおそらく生活には全く困らず小金持ちにはなるけれどもそこ止まり。
 そんなちっともワクワクしない、わかりきった未来のために、つまらない仕事をあと30年やる、といった具合だ。これをぼくは「なんだかな」と感じていた。

そうはいってもぼくの1番の苦手はチームワークであり、カリスマ性なんか全くないのである。こんな人間が会社を飛び出て、起業して1発逆転、なんて成功する気がしない。

 さてどうしたものか。

 こんな時、どうすべきか決めるのにぼくがいつも使っている方法がある。これをすると良い解決方法が見つかりやすいのだ。それは自分が不平不満に思っていることを書き出して、もし自分の子供が自分にそれを相談してきたらなんとアドバイスするか考えてみるのだ。すると視点が主観から客観に移り、冷静に自分の状況を見られるのである。

ぼくの今の状況を子供が訴えてきたら、自分ならこう言い聞かせるだろう。

「やりたい事がはっきりしているならやるべき」

「そうじゃなく、それが分からないとか自分が何に向いているか分からない、とか言ってる奴は、ただ単に何もできないだけの奴ちゃう?」

「そんな奴に文句を言う資格はない。ごちゃごちゃ言わずに今の仕事やっとけ!」

 

はい、ごもっとも。とりあえずぼくは今の仕事を続けることにした。

【次回へ続く】

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2023/06/24

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2004年 異動その1~

  


 

〜〜〜 2004年 異動その〜〜〜


新しい会社に入社後、ぼくは比較的順調に過ごしていた。机や椅子がくたびれていたり、食堂のランチがまずかったりと職場環境がもう一つだったのは相変わらずだったが 、とにかく労働時間が短いのに高給なので前の会社よりもずっと楽に稼げていた。

仕事はそれほどエキサイティングではなかったが、こんな感じで人間的に暮らしていけるならこれもありかな、と思い始めていた。しかし入社して1年ほど経ったころ、そんな楽園は突然終了となったのである。

 

これは後からわかったことだが、ぼくがいた部署が楽だったのは会社に多大な功績を残した部長の定年までの居場所として、会社が見てみぬふりをして放任していただけだったのである。その部長が定年退職になると、当然のごとく部は即おとりつぶしになり、部員は他部署へ散り散りとなっていった。

 

そんな中、ぼくは会社でいわば花形部署に配属となったのだが、そこでこの会社の本当の社風を知ることとなった。

新しい部署はとにかく裁量がなかった。どんな細かいことでも上司の確認が必要だった。そこで仕方なく上司に話にいくと、上司もまた裁量がないので、いろいろと細かいツッコミを受けた挙句、○○さんにも聞いておいて、とたらい回しされる始末。ぼくはこの会社では一体だれが決めるんだ?と困惑した。とにかくこれでは仕事は全く進まない。

最も驚いたのが、部長でさえこれは〇〇さんに聞かないと…と自分で決められないことだった。平社員ならともかく、部長になっても同じなのでは経験を積めばだんだんと裁量がついてくると言うものでもないらしい。これには本当にたまげた。

そういえば入社直後に楽園部署の先輩から「この会社は役所みたいな会社だよ」と聞いたことがあった。その当時は意味がわからなかったが、なるほどこういうことか、とここで初めて理解した。

 

そしてまずいことに、ぼくの能力で1番欠けているのはチームワークであり、ぼくが最も嫌いなのはホウレンソウ、つまり報告・連絡・相談なのである。これだけでも普通にサラリーマンとして終わっているが、こんな役所のような組織で働くには輪をかけて不適性と言えよう。前の会社でこの弱点が露見しなかったのは、社員に与えられる裁量が大きかったためである。

その上、楽園部署とはうってかわり仕事は普通に激務だった。深夜2時退勤、翌朝8時出勤などはザラ。これは当たり前と言えば当たり前で、楽園部署のような働き方で会社はこんな良い業績が出せるはずがないのである。どの部署でも馬車馬のように働くのが普通なのである。

ここまで来て、しまった!俺はここに来る人間ではなかった、と気づいたものの既に後の祭り。いまさら前の会社に戻れるはずもないし、そもそも前の会社はとっくに倒産してしまっていた。

 

これは大変なことになった、俺はここではやっていけない、そう思った。


【次回へ続く】

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2023/06/14

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2002年 転職~

 


〜〜〜 2002年 転職 〜〜〜

ぼくは田園風景の中をひた走る電車の中に居た。車窓に流れる景色を眺めながら、ぼくの心中は大きな違和感に襲われていた。まだ何も始まっていないにもかかわらず「俺は何か大きな間違いを犯したんじゃないだろうか?」という不安にかられていた。

その日、東京の会社から関西の会社に転職が決まっていたぼくは、新しい会社の健康診断を受け、ついでに引っ越す予定の社宅の見学に行った帰りだった。

転職先の会社は前の会社よりは規模が大きく業績も良かった。にもかかわらず見てきた社宅はボロボロで、とてもそんな好業績の会社の社宅に見えなかったのである。ただ、違和感の正体はそれではなく、何かもっと闇深い、得体の知れないものだった。

 

ところでこの会社に転職することにしたのは前の会社の業績が怪しくなったからだ。前の会社は小さいながらもオフィスは一等地だったし、チームが上げた実績に応じて年1度報奨金を配るパーティーがあったりと、少し派手目な会社だった。場合によってはチームに1億円の報奨金が配られることもあった。

しかし、業績が芳しくなくなるとそういった派手なイベントはなりをひそめ、それどころか社員の3分の2を解雇するという全く逆の事態に陥っていた。ぼくはその3分の2には入らなかったのだが、ここにいても先はない、と感じ転職することにしたのである。

 

新しい会社はそういう派手さは無いものの、ベースとなる基本給が高いのと、残業代やその他の手当についても非常に手厚い会社だった。ぼくは派手な一発逆転のワンチャンスは大好きだが、前の会社でその惨状を見てきたため、結局は堅実な会社の方が良いと考えて転職することにしたのだった。

それはわかって転職したのだが、まがりなりにもあれだけ業績の良い会社の社宅なのだから、社員に気持ちよく働いてもらうために少しくらいリフォームしても良いのではないか、と思うレベルのボロボロさだった。

しかしまあ、業績が良いからといってすぐに散財せず、質素謙虚に事業を進める社風だからこそ今の業績があるのかもしれない。帰路の新幹線の車中でそんなことを思いながら、ぼくは関東の自宅に戻っていった。

【次回へ続く】

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2023/06/10

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2022年 プロローグ~



〜〜〜 2022年 プロローグ 〜〜〜

今から退職を申し出る。

最初にFIREしようと決意してから一体何年経っただろう。ぱっと振り返っても十数年は経っているはずだ。FIREがまだアーリーリタイアと呼ばれていた時代から今日この日を待ち望んでいた。

既に退職を申し出るためのズーム会議の依頼メールは書き終えた。後は送信ボタンを押すだけだ。これを押したらもう二度と後戻りはできない。考えに考え抜いたとは言え、やはり少し緊張する。なんだかんだ関連会社を含めれば20年以上勤めた会社だ。

“緊張”は辞めるリスクに対するものではなく、まだ何か考えに漏れがあるのではないか?どこか計画に大穴が開いていたりしないか?と言うものだ。会社には何の未練もない。

――― もう何年も考えた。いまさら新しい事など何も出てきやしない! ―――

そう思った直後、ぼくは普段より人差し指をやや大振りにし、思いきり送信ボタンをクリックした。賽は投げられた。


 ズーム会議は始まった。参加者は副部長と課長とぼくの3人。ぼくの会社では退職を告げるには直属の上司とその1つ上に申し出ることになっている。ぼくはありきたりの理由を並べ退職を申し出た。とにかく辞める事は決まっているのだ。無駄にごちゃごちゃ話したくない。それには絶対に上司に引き止めの口実を与えてはならない。結局はありきたりの理由が最も良いのである。

 会社の愚痴を言うなんてもってのほかだ。そんなこと言えば、改善するから考え直してくれないか、などと言われ面倒この上ない。

――― 俺はやめたいんだよ!こんなとこ1秒たりとも居たくないんだよ! ―――

まあ引き留めなんて事はいらない心配かもしれない。なぜならこの副部長は知らない仲ではない。10年以上前のぼくの直属の上司であり、当時散々困らせた覚えがある。正直言ってぼくの事は辞めて欲しい社員と思っているかもしれない。


 一方、課長はぼくが辞めることなど一切頭になかったようだ。ズーム会議の依頼メール送信後、あれ〜本当〜?全く気づいてなかったよ〜、という妙に馴れ馴れしい返信が来た。

この上司、いつも部下とは仕事以外の話は一切せず、突っ込んだコミュニケーションなど取ったためしがない。それなのに突然この馴れ馴れしい返信。これは正直いって気持ち悪かった。
 まるで中学生が好きな女の子の前でキョドる如くイタい。ぼくは少しの間とはいえ、こんな小物の下で働いていた事が恥ずかしく悲しくなった。でもまあいい、それもこれも、もう終わりだ。 

 会議ではぼくが一方的に話し、特に慰留もなく数分間で終了した。20年働いて数分間で終わりというと普通の人なら何か悲しいと思うかもしれないが、ぼくにとってはむしろ好都合。ぼくにとってこの会議は無事退職するまでの何段階かある単なるステップの1つであり、ステップを一つ一つ滞りなくクリアしていくことが最重要なのだ。

 

 しかし、ぼくはなんでこんなに会社に愛着がないのだ?まがりなりにも20年も働いていればプロジェクトが無事終了したり、同僚に感謝されたりといった経験をしながら少しは仕事に対する喜びを感じるものではないだろうか?

実際、ほとんどの人は嫌な仕事の中からたまにあるそういった一つ一つの小さな喜びを拠り所にして、何とか定年までやって行っているのではないか。ぼくにだってそうして普通のサラリーマンとして歩む人生だってあったはずだ。

それがぼくときたらプロジェクトが無事終了し顧客が喜んでも、ただ仕事が終わったと思うだけだし、同僚に感謝されてもああ、そうですか、よかったですね、でも俺とお前は違うんだ、俺はそんなことで喜んでる場合じゃないんだ、と斜に構えているだけだった。

 ぼくはどうしてこうなってしまったのだろう。

 いつから、何がきっかけでこうなってしまったのか。

そう思った瞬間、ぼくの脳裏にこれまでの出来事が洪水のように浮かんできて、止まらなくなった。

【次回へ続く】

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2023/06/09

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜はじめに~




〜〜〜 はじめに 〜〜〜

 ぼくは2022年、FIREした。

一般的にFIREのイメージといえば生活をシンプルに磨き、年間生活費を下げ、資産1億円程度を用意してスタート、といったところかと思う。しかしぼくの場合は自分含め4人の面倒を見つつのFIREとなったため、約3億を用意しての重量級スタートとなった。

 FIREした今は安堵の日々を満喫している所だが、この辺りで一旦これまでの軌跡を振り返り節目だったと思う所をまとめておこうと思う。とはいっても、これから語る話は今FIREを目指している方にとって知見になる話もあるかもしれないがメインでは無い。

 いやむしろタバコの外箱よろしく「あなたの人生を破壊する危険性がありますので決して真似しないでください」と警告を入れたいぐらいだ。

 もっともこの先を読めば、あまりの無謀さに言われなくても誰も参考にはしないと信じているが、念には念を入れて最初に断っておきたい。


 ではなぜ今更こんな話を書くかというと、それは一点のみ。FIRE希望者のみならず、誰にとっても株をホールドする大事さを伝えたいと思ったからだ。

「なんだ、そんなの知ってるよ」という声が聞こえてきそうだ。確かに株の本には大抵それは書いてある。しかしそれでも暴落などが起きると必ず心が折れて退場してしまう人が後を絶たない。こういった場面でも辛抱強く持つにはどうしたらいいのか、過去のデータから解説された本は知っていても、心理的な面から書かれたものは見たことがない。

それを理解するには知識として持つだけでは不十分で、体験を通じて腹落ちするしかない、というのがぼくの持論なのだが、それには長大な時間が必要でみんながそれをやるのは無駄だ。そこでぼくの20年の株との戦いをシェアすることで疑似体験してもらい、その時間を節約し、みんなはその浮いた時間で仕事や子供との遊び等に有意義に過ごしてもらいたいというのが趣旨だ。


ということで、そこだけ念頭に置いてもらいながら、この話はとある一人のFIRE達成者の軌跡としてお楽しみいただければと思う。そしてこんな奴でもFIREできるのだ、と自信を持っていただけたら幸いである。

ただ、一つだけFIREを達成するための“適正”はあると思っていて、それはぼくも含め実際にFIREしている人を見るとブレインロック(社会的洗脳)に掛かってない人が多いように思える。

「お金の話をするのは卑しい」とか「大人になったら働くのが当たり前」「投資はギャンブル」と言った類いのブレインロックだ。

育ってきた時代を考えると普通なら必ずそういう洗脳が掛かるはずなのだが、そういう人たちは努力して外すのでなく、なぜか最初から掛かっていない人が多いようだ。ぼくも勿論そうだった。もしあなたがそういうブレインロックがかかっているなら、もしかするとこの話は一部嫌悪感があるかもしれない。その場合はいったんそのブレインロックを外して読んで頂けたらと思う。


 記述にあたってはクズなエピソードも含めて出来るだけそのまま書くつもりだが、身バレ防止のため多少フェイクは入れさせていただいた。いわゆる「この物語はフィクションです」というやつだ。従ってこれは事実を元にした小説ということで了承を頂きたい。

では前置きはこの辺にして実際に書いていくことにする。

【次回につづく】

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