株の世界は生き馬の目を抜く世界だと言われますが、そりゃそうでしょう。
労働の結晶である、現ナマのお金を直接やりとりする勝負なのですから、濃さが違いますよね。
だからいろいろな規制はあるものの、みんなその中で日々ギリギリの真剣勝負をしているのです。
そんな世界ですから、大抵の市場参加者は「モラルって何?」というスタンスで、規制の範囲内なら金のためなら何でも仕掛けてきます。(しかしながら実際に長期的にお金を儲けているのはモラルのある少数派だったりしますが。)
それを徹底してやるのが村上ファンドや海外勢のアクティビスト投資家などです。
私は規制内でやる限り「ご自由に」と思いますが、そういう投資家に対して大多数の日本国民は大きな嫌悪感を抱くようです。
マスコミの影響もあるでしょう。例えばアクティビストがどこかを敵対的買収しようとすると、あたかも乗っ取り屋のようなイメージで報道され、大抵は嫌われ者にされてしまいます。
でも本来、企業は株を買ってほしくて上場しているはずですので、ちょっとおかしな話です。だってこの話を三行でまとめると
企業:「上場したのでわが社の株を買ってください」
村上:「ほな買います」
企業:「お前は買うな!」
という感じなわけで、もはやコントと言えなくもないですもんね。
このような敵対的買収に対する拒絶感はアメリカの方が少ないようです。
しかしながら、アメリカもたまには日本のようなやり方で買収を妨害することもあります。
でもそこは一つ筋が通っていて、どうでもいい会社に関しては市場のルールに任せるけれど、国家に対して不利益となるなら認めないという点です。
例えば、もし誰かがLMTやNOCのような軍需企業を買収しようとしても、いくら金を積んでも多分ダメでしょう。
要するにダブルスタンダードな訳ですが、まあ株は大人の世界なので、そういうのもゲームの一要素と考えてプレイすれば、むしろ面白いというものです。
翻って日本はどうでしょう。
2007年にブルドックソース事件というのがありました。米国の投資ファンド、スティール・パートナーズがブルドックソース(2804)を買収しようとした事件です。
このブルドックソース、事業は安定しているのに剰余金を配当も投資もせず不必要にため込んでおり、結果、ROEが万年低くなるクズ経営を行っておりました。
ところが、すったもんだで裁判までやった挙句、ほぼ「ハゲタカは帰れ!」という判決が出て買収は失敗したのです。
日本にとって時価総額100億円くらいのソース会社は国家の運命を左右する重要企業なんですかね(笑)
いや、確かに、もしオタフクソースが買収されて味が変わったら、一部の関西人にとっては生死にかかわる重大な事態と言えるかもしれないですけどねぇ(笑)。ブルドックはどうでしょう?
そしてこれを見た他のクズ上場会社の経営者はホッと胸を撫で下ろしたことでしょう。なんせ裁判所のお墨付きを頂いたんですからね。これからも安心して今まで通りのクズ経営を続けることが出来ます。
こうして市場は襟を正す機会を逸して、だんだんと全体がクズ化していくのでした。
まあ投資家としては、そんなキモい国からは黙って資金を引きあげるのみです。
このグローバル化した現在で、幕末じゃあるまいし無理して自分の周りを変えるより、自分がまともなところに移動した方が早いですから。
P.S. その後のブルドッグソースの株価等は、ぜひ各自ご確認ください。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。