2023/12/02

2024年の投資戦略


来年の相場予想

そろそろ2024年の投資戦略を決めるために来年の相場を予想しました。

毎年この時期にこの作業をしているのですが、その理由は去年も述べたとおり年一回その時の状況を全て含んだ基準点を作っておくと、後から何か起きてもそこからの差分を考えるだけで済むので楽だからです。

こうしておくと今後どんどん状況が変わっていく中で、ここが変わったからここの考えを変えてこうしよう、といった具合にスグに行動できるのです。

というわけで本題に移りたいと思います。

まず結論から言うと、たぶん景気後退は来る。そしてそれはたぶん来年だと思うけれど、もしかしたら再来年までずれ込むかもしれない。はっきりした時期はわからないが来るものは来るので、その「少し」前にキャッシュは株に投入したい、ということです。

その理由は次のようなものです。

大局的予想

まずもうみんな忘れてるかもしれないですが長短金利が逆転してからだいぶ経っています。金利が逆転するとその後しばらくして高い確率で不況に陥ることが知られています。
忘れた頃が特に危ない。それはそろそろではないかということ。


(超短期金利差のグラフ 出典:FRED)

最近は軟着陸の可能性が高まってはいますが、残念ながら過去の歴史からはこれが実現できたケースは極めて稀と言えます。むしろもしそれが出来たらパウエル議長はポール・ボルカーやアラン・グリーンスパンと並ぶ歴代最高のFRB議長と評価されることになるんじゃないでしょうか。
とすると、保守的に予想するなら今回もやはり不況がくる前提にしたほうがよいと思います。

そして最近FRBはインフレ退治のための利上げを打ち止めにしたようですが、それはさらなる引き締めがなくなっただけで相変わらず金利は高水準に変わりありません。これはボディーブローのように景気の下げ圧力として効いてきます。

この予想が現時点での来年の大局観的な流れですが、来年の相場を見て前提となるこの流れが変わらなさそうなら以下の細部の予想のもと投資戦略を練りたいと思います。

細部の予想

その細部の予想とは、今回、FRBは弱い景気指標が出てきても簡単には金利を下げないのではないかという事です。

そもそも今の市場参加者が期待しているように景気の軟着陸が成功したり、現在の株高が継続するなら利下げどころかFRBにとっては利上げ要因になるくらいです。
しかし私はその逆、不況になりそうでもしぶとく高金利を続けるのではないかと思っています。

私がそう思うのは、1970年代の米国におけるスタグフレーションの際、FRBは拙速に利下げを行い金利操作をしくじった歴史があるからです。

その当時、高インフレと戦っていたFRBはインフレが一旦収まりそうになった段階で政治の圧力に負け金融緩和に舵を切りました。これが大失敗で物価上昇は瞬時に火柱のように再燃しFRBはこの後始末に大変苦労しました。そしてこのドタバタをポール・ボルカーが終わらせるまで、FRBの威厳は著しく失墜しました。

(データ出典:FRED)

グラフの一番右を見ると、今回のインフレ局面でもFRBは当初インフレは一時的、と長くアナウンスしコロナからの景気回復のため金融緩和を優先した結果、途中からインフレが暴走して引き締めが後手に回ったことが見て取れます。

これはパウエル議長自身、痛恨のミスだと思っているはずで出口でしくじってまた過去のFRBのように威厳を失ってしまうことだけは避けたいのではないかと思います。
具体的に上のグラフで言えば、相当に長い時間オレンジのラインが青を上回るレベルをキープするのではと予想します。

すると、ちょっとやそっと景気の弱さを示す指標が出たとしても、少し(4%程度まで?)はやるかもしれませんが、大幅にはそう容易くは緩和してくれないのではないでしょうか。
現在CME FEDウォッチを見ると来年半ばくらいに緩和に舵をきるのではというのが市場のコンセンサスのようですが私はこれはやや見通しが甘いと感じます。

いや、確かに最終的には助けてはくれるとは思いますが、それは景気悪化指標が出始めて株が沈没し、海に投げ出された投資家がFRBが助けてくれるはずとチラチラFRBの方を見ている時は起こりません。

それを見た市場参加者が「アレっ!?助けてくれないの?!」と青くなり、さらに最初の二、三人が実際に溺死しギャー!!😨とみんながパニックになりだしたタイミングでやっとそういう話が出始めるのではないでしょうか。
そして実際にFRBからの助け船が来るのは、100人中20-30人が溺死した頃だと予想しています。

実際の投資行動

すると、実際の投資行動としては、できるだけMMF等のキャッシュ同等物で引っ張って5%近い金利をエンジョイしながら、皆が溺れだしてパニックになり、利下げが始まる直前のここだ!というタイミングで投入、というのがベストシナリオと考えます。

そして実際に景気悪化が誰の目にも明らかになるのは、さらにそれから暫くしてからでしょう。

従って金利低下の前に株の大底がくると予想しており、そのタイミングもかなりシビアになりそうと思うので、余った資金はキャッシュにて待機しようと思っています。

もっともその場合でも下げ幅としては大したことはなく、最悪でもせいぜいS&P500で4000レベルではないかと見ています。
これは現在それほど市場に投資家の慢心が溜まってないように感じるのと、相場の足踏みももう2年ほど続いており、その間の経済成長を考えるとある程度のファンダメンタルズの下支えはあると思っています。

なので、2023年の秋ごろに4200レベルでフルポジにした場合は、そのままホールドで全く問題ないと思います。

さらに言えばここまで述べてきたことは所詮お遊び範囲のキャッシュでするべきもので、7割がたの資金は既になんらかのアセットに投資されていなくてはならないと思います。

私の場合はどこからどう見てもこれはバブルでしょう、という時でやっとキャッシュ率を50%にする程度なので、そこからすると今の株価レベルは超長期ではフルポジにしてもなんら問題ないレベルかと思います。

また、下げ始めると例によって「今回は違う」論が出始めると思いますし、ハマス・イスラエルの戦闘後の展開など最近はアメリカの弱体化を示す出来事も散見され始めているので、その時は「アメリカの時代ももう終わり」「従ってアメリカ株ももう終わり」というような論調も流れる事と思いますが、巨大な船はそう簡単に進路は変わりませんので1-2年でそういった方向に全振りするのは間違える確率が高いでしょう。