前々から読もう読もうと思いつつ、のびのびになってたゲーム理論の本をついに読んだ。
「ゲーム理論トレーニング/逢沢 明」
念のため書いておきますが、ゲーム理論とはテレビゲーム攻略法でもなく、ゲーム制作者向けのノウハウ集でもありません!
ゲーム理論は交渉や選挙や戦争など、相手がいる”ゲーム”を如何に有利に闘うか、ということを数学的に研究する分野で、特に国家戦略担当者や政治家、企業経営者に役立つ分野です。
投資家も、これを少しかじっておけば自分の持ち株の会社の戦略を理解できるので良いと思います。
で、感想は・・・これは面白い本でしたw。
とはいってもこの本、単に面白いだけで”ゲーム理論”という数学はまったく出来るようにはならないw。
でも、概念というか、ノリみたいなもの分かったし、投資に使うぶんにはその程度で十分なのかもしれません。
昔、株の本を読みこなせず仕方無く簿記三級を取った後、続けて二級の勉強をしていたら、自分は何も財務諸表を作りたいのではなく、読めればいいので意味ねーな、と思って勉強やめたことがあったけど、このゲーム理論も、株に使うだけならこの本読む程度で十分で、あえて数式をこねくりまわす必要はないかもしれません。
内容のほうは具体的かつシンプルなサンプル多数。
ゲーム理論の代表問題の「囚人のジレンマ」でどうしてお互いが裏切ってしまうのかをはじめ、「キューバ危機」「ナッシュ均衡」「選挙」「恋愛」「投資」「デフレ値下げ競争」「ベンチャーVS大企業」「先進国VS新興国」「国家VSテロリスト」などをテーマに読み物として充実。
これを読むと、例えばキューバ危機で米が先に「撃ったら撃ち返す」と宣言することにより、ソ連の「撃つ」という選択肢を封じる戦略や、auドコモ VS ソフトバンクの値下げ競争でソフトバンクの「他社が値下げした場合は即値下げ」という宣言がどういう戦略の下の結論だったのかが分かります。
株に直接関係しそうなトピックとしては、相手がどんな手で来ても自分の利得が常に最大になる点が存在するという「ナッシュ均衡」と、大負けを減らすことが実は一番の勝ちへの近道という「ミニマックス理論」。
これによると、結局株はインデックス投資しとけ、ということになりそうですが、実際、理論では絶対出ないような好成績を残してる人も沢山いるし、まあゲーム理論はファイナンス理論と同じく、物凄く”紛れ”が多いジャンルのようなので妄信は危険かも。
でも”ゲームの達人”になって、
徹底的に問題を分解し、
全ての選択肢を洗い出し、
相手の立場に立って先読みし、
ルールや論点を自分に有利にすり替えて、
時には相手の得意技をつぶすためにあえて不利な選択をし、
自己の利得を最大にする
というプレイで、小が大に勝ってしまうことも十分ありうることが爽快!
実際、戦国時代に相手の10分の1の兵で勝った武将もいました。
またこの理論で値切り上手になれば、家やクルマなどの大きな買い物をするときに「知ってて良かった!」となるかもしれません。
この本、自分はアマゾンで380円くらいで買ったのですが、2800円くらいなら出しても良かったかも。