…それでも、効率的市場論者はあらゆる例外を否定する。その際だった例外がバフェットで、その実績が長期にわたって賞賛を浴びているのは不都合な事実だった…(略)…ランダムウォーク論者が、バフェットという謎について議論した…(略)…プリンストン大学の経済学者であるバートン・マルキールが、株式市場で一貫して平均以上の結果を出している人間は、ツキのあるサルが≪ウォール・ストリート・ジャーナル≫の相場欄にダーツを投げて選んだ株で連勝しているのと大差ないといって、この議論を締めくくった。(P193~)
これに対するバフェットの反論は以下です。
その通りかもしれないが、コイントスで勝つ人々が全員おなじ町の出身だとすれば、表の連続はランダムではないかもしれない(P196)
「全員おなじ町の出身」というのはバフェットと長年にわたって株について議論してきた仲間たちのことです。この「バフェット・グループ」のポートフォリオはそれぞれに違いますが、20年以上にわたってバフェット・グループの面々は市場平均を上回り続けていました。
この事実をバフェットは提示し、このような集中はランダムな幸運によるものではない、と統計的に証明しました。ランダム・ウォークは統計に基づく理論ですが、その統計に基づいて検証するとランダム・ウォーク理論は反証されるというわけです。
この議論があったのは今から30年以上も前の1984年ですが、この論点はまさに、私も長いこと疑問に思っていた事でした。
それで、この論点に対するさらなるバートン・マルキール側の反論を知りたいと思い、その後に出版された版のバートン・マルキールの超有名著書「ウォール街のランダム・ウォーカー」を、この論点に注意しながらを読んだ事があったのですが、バートン・マルキールからの反論は見当たりませんでした。
というわけで、この論点はバートン・マルキールに「既読スルー」された状態となっていますので、仕方ないので自分でその後30年の経過を検証してみました。
Yahoo financeより転載
青がバフェットのその後の成績、赤がS&P500です。
結果を見ると、バフェットは毎年コイントスで表を出し続けたわけではないものの、明らかにその確率は50%を長期的に上回っています。その期間は20年+30年で50年以上に及びます。
バフェットは1984年に「その通りかもしれないが」とD.カーネギー流に控えめな反論をしましたが、結果はむしろ「その通りでは全く無かった」と言えるでしょう。