2023/06/24

ぼくが投資で3億ためてFIREした話 〜2004年 異動その1~

  


 

〜〜〜 2004年 異動その〜〜〜


新しい会社に入社後、ぼくは比較的順調に過ごしていた。机や椅子がくたびれていたり、食堂のランチがまずかったりと職場環境がもう一つだったのは相変わらずだったが 、とにかく労働時間が短いのに高給なので前の会社よりもずっと楽に稼げていた。

仕事はそれほどエキサイティングではなかったが、こんな感じで人間的に暮らしていけるならこれもありかな、と思い始めていた。しかし入社して1年ほど経ったころ、そんな楽園は突然終了となったのである。

 

これは後からわかったことだが、ぼくがいた部署が楽だったのは会社に多大な功績を残した部長の定年までの居場所として、会社が見てみぬふりをして放任していただけだったのである。その部長が定年退職になると、当然のごとく部は即おとりつぶしになり、部員は他部署へ散り散りとなっていった。

 

そんな中、ぼくは会社でいわば花形部署に配属となったのだが、そこでこの会社の本当の社風を知ることとなった。

新しい部署はとにかく裁量がなかった。どんな細かいことでも上司の確認が必要だった。そこで仕方なく上司に話にいくと、上司もまた裁量がないので、いろいろと細かいツッコミを受けた挙句、○○さんにも聞いておいて、とたらい回しされる始末。ぼくはこの会社では一体だれが決めるんだ?と困惑した。とにかくこれでは仕事は全く進まない。

最も驚いたのが、部長でさえこれは〇〇さんに聞かないと…と自分で決められないことだった。平社員ならともかく、部長になっても同じなのでは経験を積めばだんだんと裁量がついてくると言うものでもないらしい。これには本当にたまげた。

そういえば入社直後に楽園部署の先輩から「この会社は役所みたいな会社だよ」と聞いたことがあった。その当時は意味がわからなかったが、なるほどこういうことか、とここで初めて理解した。

 

そしてまずいことに、ぼくの能力で1番欠けているのはチームワークであり、ぼくが最も嫌いなのはホウレンソウ、つまり報告・連絡・相談なのである。これだけでも普通にサラリーマンとして終わっているが、こんな役所のような組織で働くには輪をかけて不適性と言えよう。前の会社でこの弱点が露見しなかったのは、社員に与えられる裁量が大きかったためである。

その上、楽園部署とはうってかわり仕事は普通に激務だった。深夜2時退勤、翌朝8時出勤などはザラ。これは当たり前と言えば当たり前で、楽園部署のような働き方で会社はこんな良い業績が出せるはずがないのである。どの部署でも馬車馬のように働くのが普通なのである。

ここまで来て、しまった!俺はここに来る人間ではなかった、と気づいたものの既に後の祭り。いまさら前の会社に戻れるはずもないし、そもそも前の会社はとっくに倒産してしまっていた。

 

これは大変なことになった、俺はここではやっていけない、そう思った。


【次回へ続く】

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